『フラガール』を支えた映画ファンドのスゴい仕組み

説明がうまい。さすが商品開発をして売り込んで成功している人というのはフォーカスの移動が巧み。数字の丸め方とかも頭に入りやすくなってる。そんななかでも弁解とかしていたりしてうまいなあと思う。

  • 第1章 『フラガール』誕生秘話
  • 第2章 『フラガール』で学ぶ映画ビジネスの構造
  • 第3章 『フラガール』を支えた映画ファンドとは何か
  • 第4章 「シネカノン・ファンド第1号」ができるまで
  • 第5章 日本映画と映画ファンドの今後

主題は映画の資金調達の手段として知的財産の運用に対する信託という2004年以降に解禁になった方法で集金し、それで制作や宣伝を行うという仕組み。関係会社で組合をつくるいわゆる制作委員会方式と違い、資金運用に特化した役割を分担する企業がありそれがこの本の著者の勤めるジャパン・デジタル・コンテンツ信託株式会社さん。シネカノンに対するシネマ信託という商品に絞って話をすすめ、制作から二次利用までの映画業界固有の収益の構造説明から始まり、複数のタイトルを対象とすることでリスクを低減して商品として魅力のある形にまとめる工夫や、売り込みのさまざまな苦労など。著作権を制作会社の所有とすることで業界に対する貢献をするという考え方などは興味深い。

主張は5章にあるのだけど、2章から4章で新しい知識が入ってくるので楽しかった。